CyberManga開発者ブログ

サイバーマンガの開発の色々

日本がすごいのは、コミケの入場者が50万人だからじゃない!3万5000のサークル・・・「作り手」が参加していることなんだっ!

Posted on 2011年2月7日 by 西野 公平

いや、言いたいのはタイトルのままなんですけどね・・・。 

もうずいぶん長いこと世界の色々な国で講演やワークショップを開いてきました。

アメリカ、韓国、中国、イタリア、デンマーク etc…

コミックやマンガのコンベンションにもずいぶん行ってきましたが、どの国のコンベンションだって基本的にはファンの集まりです。消費する側の人たちがほとんどです。

3万5000のサークルが自分の同人誌を売りに来るなんて・・・こんな国は絶対に他にはありません!

これはすごいことなんですよ。

ハリウッドなんか目じゃないくらい創作人口が多い・・・層が厚いっていう奇跡のような状況なんです。

もちろん玉石混淆ではありますが、それでもこの数はハンパじゃない。

この貴重な資源をまだ日本では活用しきれていないと思っています。 中国も韓国も他の国も、国策でバンバンお金を使っても世界に通用するアニメやマンガが出てこない。

日本がそれを出来るのは、実はこの作家の層の厚さに秘密があると私は思います。 革新的な発想は「企画会議の席」で出てくるものではありません。

お金がかかれば口を出す人も増えて、だんだん作品は保守的な方向に向かうことが多くなります。

私は「個人の妄想」こそが奇抜なアイデア・・・創作の原点だと思うのです。 マンガは「10代20代の個人の作家の妄想」を安く商品化し、市場に出します。

すると各マンガには「何冊売れた」という数字が付いてきます。

これで初めて「この作品がどれだけの価値があるか」の指標が出来、アニメ化やゲーム化への投資が安心して出来るようになるのです。

それがなければ投資家には「手足が伸びる海賊のマンガ」や「ノートに名前を書くとその人が死ぬストーリー」にいったいいくらぐらいの価値があるのか計りようがないからです。

他の国では日本のような「若者の妄想マーケティング装置」であるマンガ業界が育たなかったので、そこから先の産業にも大ヒットが出にくいのです。 日本の企業がiPadに対抗する時、コンテンツで差別化を図るしかないと思っています。

デバイスもOSも、結局最後には横並びになるからです。今だって絵で描いたらみんな一緒に見えるし・・・。(笑)

その時にこの天然資源とも言える「日本の作家たち」を活用しない手は無いと思うのです。・・というか、活用しないなんてばかげてます!

他の国が喉から手が出るほど欲しがっているものがここにあるんだから・・・。 アップルがiOSの開発環境で個人の開発者達を集めたように、日本企業が作家達に自由に作品を発表できるプラットフォームを用意できれば、まだ逆転の余地はあるのではないでしょうか?

で、誰もやってくれないのでサイバーマンガスタジオを作っちゃったわけですが・・・。

でもまだきっと遅くはないと思うよ!

西野公平

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